2024年10月17日
資金繰りがスムーズにいかないと、どれだけ魅力的なビジネスアイデアがあっても、成長を阻害されてしまいます。
特に中小企業やスタートアップにとって、資金調達の方法を知り、適切に活用することは事業の成長と安定に直結します。
この記事では、経営者が押さえておくべき効果的な資金調達方法を10選にまとめて紹介します。
本稿は後編となり、10選のうち残り5つの資金調達方法を紹介します。
是非最後までお読みください。
前編はこちら
6. エンジェル投資家からの資金調達
エンジェル投資家とは、個人の富裕層がスタートアップや小規模事業に対して資金提供を行う投資家のことです。
企業の成長を見込んで資金を提供するため、事業の初期段階での資金調達に適しています。
また、投資家の経験やネットワークを活用できる点もメリットです。
エンジェル投資家からの資金調達とは?
エンジェル投資家は、スタートアップ企業や成長初期段階の企業に対して、自己資金を投資する個人投資家を指します。
エンジェル投資家は、主にリスクが高い段階の企業に資金を提供し、経営支援を行うことが多いです。
このような資金調達は、事業の初期段階で銀行融資や他の資金調達手段が難しい企業にとって重要な選択肢となります。
エンジェル投資家は、投資だけでなく、自身の経験や知識、人脈を通じて企業の成長をサポートすることが一般的で、投資対象の企業が成長することで、将来的にキャピタルゲイン(投資による利益)を得ることを目指します。
エンジェル投資家の特徴
リスクを取る投資 エンジェル投資家は、企業の成長初期やリスクの高い段階で資金を提供します。
そのため、リスクが高い一方、投資が成功すれば大きなリターンが得られる可能性があります。
少額からの投資 エンジェル投資家の投資額は通常、ベンチャーキャピタル(VC)よりも小規模です。
数百万円から数千万円程度の投資が一般的で、企業の資金ニーズに応じて柔軟に対応することが可能です。
経営支援 多くのエンジェル投資家は、単に資金を提供するだけでなく、企業の経営にも関わります。
経営アドバイスやネットワークの提供など、資金以外の支援を通じて企業の成長をサポートします。
株式の取得 エンジェル投資は通常、株式と引き換えに行われるため、投資家は企業の持ち分を得ます。
エンジェル投資家は企業の成長に伴い、株式価値の上昇を期待します。最終的にはIPO(株式公開)やM&Aによって投資を回収します。
エンジェル投資家からの資金調達のメリット
資金調達の容易さ 企業がまだ売上を十分に上げていない初期段階では、銀行からの融資や他の資金調達手段が難しい場合があります。
エンジェル投資家はそのリスクを理解し、スタートアップに対して柔軟に資金を提供するため、資金調達が比較的容易です。
経営のサポート エンジェル投資家は単なる投資家にとどまらず、自身のビジネス経験やネットワークを活用して企業の成長を支援します。
特に経験豊富な投資家は、業界特有の知識や戦略的なアドバイスを提供し、事業の成功に貢献します。
長期的な視野 エンジェル投資家は通常、長期的な視野で企業に投資します。
企業が短期的な利益を追求せずに、成長に必要な期間を確保できるため、柔軟な経営戦略を立てることが可能です。
銀行融資に依存しない エンジェル投資は返済義務がないため、銀行融資に依存せずに資金を調達できます。
資金の使用用途に自由度があり、企業は成長に必要なリソースを確保しやすくなります。
エンジェル投資家からの資金調達のデメリット
持ち株の希薄化 エンジェル投資家は通常、株式を取得するため、創業者や経営者の持ち株比率が低下します。
これにより、経営のコントロールが分散する可能性があります。
また、将来的にさらに多くの資金調達を行う場合、追加の株式発行により、創業者の持ち株がさらに減少するリスクがあります。
経営への介入 エンジェル投資家は、自身の投資を守るために経営に深く関与することがあり、創業者や経営者の自由度が制限される場合があります。
特に、経営方針や戦略において意見が対立することも考えられます。
投資家の選定が重要 エンジェル投資家は企業の成長をサポートするため、信頼できる投資家を選定することが重要です。
経験豊富で業界知識が豊かな投資家を選ぶことで、単なる資金提供だけでなく、事業の成功確率を高めることができます。
資金調達額の制約 エンジェル投資家の投資額は、通常数百万円から数千万円程度と比較的小規模です。
より大規模な資金が必要な場合は、ベンチャーキャピタルなど他の資金調達手段との併用が必要になることもあります。
エンジェル投資家からの資金調達プロセス
ビジネスプランの作成 エンジェル投資家に対して魅力的なビジネスプランを提示することが第一歩です。
市場調査、収益モデル、成長戦略など、投資家にとって信頼できる計画を用意する必要があります。
エンジェル投資家とのネットワーキング エンジェル投資家を探すためには、業界のイベントやスタートアップ関連のフォーラム、エンジェル投資家グループに参加することが効果的です。オンラインプラットフォームも利用できます。
投資家との交渉 投資家が興味を示した場合、投資の条件や株式の割合などを交渉します。
この段階では、法務や財務の専門家のサポートを受けることが推奨されます。
資金調達契約の締結 双方が条件に合意したら、投資契約を締結し、資金を受け取ります。
この際、今後の経営方針や投資家の役割、投資の回収方法についても明確にしておくことが重要です。
エンジェル投資家を見つける方法
エンジェル投資家ネットワーク エンジェル投資家のグループやネットワークを通じて、投資家を見つけることができます。
代表的な例として、アメリカの「エンジェルリスト」や、日本の「日本ベンチャーキャピタル協会」などがあります。
オンラインプラットフォーム クラウドファンディングのように、エンジェル投資家とスタートアップを結びつけるオンラインプラットフォームも増えています。
これらのプラットフォームでは、企業は自社のビジネスプランを公開し、投資家からの資金を募集することができます。
スタートアップイベント スタートアップ向けのイベントやピッチコンテストに参加することで、エンジェル投資家と直接つながる機会があります。こうしたイベントは、資金調達のためのネットワーキングの場として非常に有効です。
7. ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達
ベンチャーキャピタルは、成長が見込まれる企業に対して大規模な資金を提供する投資機関です。
エクイティ・ファイナンスに似ていますが、投資家がリスクを取りつつも企業の急成長を支援します。
特にハイリスク・ハイリターンの分野で利用されることが多いです。
ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達とは?
**ベンチャーキャピタル(VC)**は、成長が期待される企業に対して資金を提供し、将来的にその企業の株式を売却することで利益を得ることを目的とする投資会社です。
VCは、特にリスクが高いスタートアップ企業や成長段階の企業に対して、株式の一部を取得する形で大規模な資金を提供します。
VCからの資金調達は、通常の銀行融資とは異なり、返済義務がなく、株式の引き換えに行われます。
そのため、VCは企業の成長に伴って株式価値の上昇を期待し、最終的にはIPO(株式公開)やM&A(買収)を通じて投資を回収するのが一般的です。
ベンチャーキャピタルの特徴
ハイリスク・ハイリターン投資 VCは、ハイリスク・ハイリターンの投資スタイルを取ります。
特に、成長が見込まれる企業の初期段階や成長段階に投資するため、失敗する可能性が高い一方、成功すれば大きなリターンが期待できます。
大規模な資金提供 エンジェル投資家が個人レベルで数百万円から数千万円規模の投資を行うのに対し、VCは数億円から数十億円規模の資金を提供します。これにより、企業は急速な成長や拡大に必要な資金を確保できます。
積極的な経営関与 VCは、資金提供に加えて、経営に深く関与します。VCの多くは、専門的な経営支援や戦略アドバイス、経営陣への助言を行い、企業の成長を加速させるためのサポートを提供します。特に、経営陣の組成や事業戦略の策定に影響を与えることが一般的です。
長期的な視野 VCは、数年から10年程度の長期的な視野で企業に投資します。投資先企業の価値を高めるために、時間をかけて事業成長をサポートし、最終的にIPOやM&Aを目指します。
ベンチャーキャピタルからの資金調達のメリット
大規模な資金調達が可能 VCは大規模な資金を提供できるため、スタートアップが急成長や市場拡大を目指す際に必要なリソースを一気に確保できます。
例えば、製品開発やマーケティングに大きな資金が必要な場合、VCからの資金調達は非常に有効です。
経営支援とネットワークの活用 VCは、単に資金を提供するだけでなく、企業の成長に必要な経営支援を行います。
VCが持つ豊富なネットワークを活用し、パートナー企業や顧客、専門家とのつながりを提供することで、事業の拡大をサポートします。
信用力の向上 VCからの投資を受けることで、その企業は「VCから選ばれた成長企業」としての信用が向上します。
これにより、他の投資家や銀行からの資金調達が容易になることが多いです。
IPOやM&Aへの道筋が整う VCは、投資先企業の成長を促進し、最終的にIPOやM&Aを目指します。
VCの専門知識や経験を活かして、企業の価値を最大化し、成功するための道筋を整えることができます。
ベンチャーキャピタルからの資金調達のデメリット
持ち株の希薄化 VCは通常、資金提供の見返りに企業の株式を取得します。
これにより、創業者や経営者の持ち株比率が希薄化し、将来的に経営権の分散や喪失のリスクがあります。
特に、大規模な資金調達を行う場合は、持ち株比率に大きな影響が出る可能性があります。
経営への介入 VCは、投資リスクを管理するために、企業の経営に深く関与することがあります。
経営方針や事業戦略についてVCと意見が対立する場合、創業者の自由度が制限されることもあります。
特に、経営陣の交代や役員の選任に影響を与える場合があります。
短期的な利益追求のプレッシャー VCは最終的な投資回収を目指しているため、企業に対して急速な成長を求めることが多いです。
このため、創業者は短期的な利益や成長目標の達成を優先するプレッシャーを受けることがあります。
企業文化の変化 VCからの資金調達により、急速な成長や経営方針の変更が求められることがあり、創業時の企業文化やビジョンが変わるリスクもあります。
VCの意向に沿った経営判断が必要になるため、企業が本来目指していた方向性から外れる可能性があります。
ベンチャーキャピタルからの資金調達プロセス
事業計画書の作成 VCから資金を調達するためには、明確で実行可能な事業計画書を作成する必要があります。
市場調査、収益モデル、成長戦略、競合分析などが含まれた、投資家にとって魅力的な計画を提示することが求められます。
VCとの接触と交渉 企業が適切なVCを見つけるために、業界イベントやネットワーキング機会を活用することが重要です。
また、スタートアップ向けのアクセラレーターやインキュベーターを利用することも有効です。
投資を受ける際には、資金提供の条件や経営への関与度合いについても交渉が必要です。
デューデリジェンス(企業調査) VCは投資を決定する前に、企業のビジネスモデルや財務状況、法的リスクなどを詳細に調査します。
これにより、投資リスクを評価し、投資判断を行います。このプロセスでは、企業の透明性や信頼性が重要です。
投資契約の締結 デューデリジェンスが完了した後、双方が合意に達すれば、投資契約を締結します。
この契約には、資金提供の条件、株式の割合、VCの経営への関与範囲、投資の回収方法(IPOやM&Aなど)が含まれます。
資金の受領と経営支援 契約が締結されると、企業はVCからの資金を受け取り、その資金を事業拡大や成長に使用します。
VCは引き続き経営支援やアドバイスを行い、企業の成長をサポートします。
ベンチャーキャピタルの種類
シードステージVC シードステージのVCは、企業の初期段階(アイデアやプロトタイプ段階)に投資します。
この段階では、ビジネスモデルがまだ確立していないことが多いため、VCにとってはリスクが非常に高いですが、成功すればリターンも大きいです。
アーリーステージVC アーリーステージのVCは、製品が市場に出る直前や、初期の収益が上がり始めた段階に投資します。
企業は事業モデルがある程度確立しているため、シードステージよりもリスクは低いですが、依然として高リスクです。
レイターステージVC レイターステージのVCは、事業が成長し、収益が安定している企業に対して投資します。
この段階では、企業の成長をさらに加速させ、IPOやM&Aに向けた準備をサポートすることが主な目的です。
8. 事業提携による資金調達
事業提携や業務提携を通じて、他社から資金提供を受ける方法です。
特に、共同開発や共同販売などの形でパートナー企業と協力することで、資金を得ると同時に事業の成長を加速させることができます。
事業提携による資金調達とは?
事業提携による資金調達は、企業が他社と協力して事業を推進するためのパートナーシップを結び、その過程で資金を得る方法です。
この提携は、資金だけでなく、技術、ノウハウ、リソース、販売チャネルなど、相互に補完し合うリソースを共有することを目的としています。
通常、提携先の企業が直接的な資金を提供する場合もあれば、間接的に事業の成長を促進することで結果的に資金を確保するケースもあります。
事業提携による資金調達は、ベンチャーキャピタル(VC)や銀行融資とは異なり、株式の発行や借入による負債を伴わないことが多く、特にスタートアップ企業や中小企業にとって魅力的な選択肢となります。
事業提携による資金調達のタイプ
ジョイントベンチャー(JV) 2つ以上の企業が共同で新しい事業を設立し、それぞれが資金、技術、リソースを提供して協力する形態です。
新たな法人を立ち上げることが一般的で、リスクと利益を分担します。ジョイントベンチャーでは、互いに資金を出し合って新規事業を展開し、利益を共有します。
ライセンシング契約 自社が持つ技術や製品を他社にライセンスすることで、ライセンスフィーやロイヤルティ収入を得る方法です。
これにより、直接的な資金調達が可能になるほか、提携先企業の販売網を活用して自社製品を拡大できます。
販売代理店契約 他社と販売提携を結ぶことで、提携先の販売ネットワークを活用して自社製品やサービスの販路を拡大し、その結果として売上を増加させます。
資金調達というよりは売上拡大が主な目的となりますが、結果的に資金が増える形です。
戦略的提携 技術や製品、サービスの共同開発や販売協力などを目的とした提携です。
互いに資金やリソースを持ち寄り、リスクを分散しながら成長を加速させます。資金調達を含む場合もあれば、資金以外のリソースを共有する形態が多いです。
供給契約・アウトソーシング契約 大企業が小規模な企業に製品やサービスを供給させるための契約を結ぶことで、安定的な売上と資金の流入が見込まれる場合があります。これは、長期契約を通じて、継続的な資金の流れを確保する手段です。
事業提携による資金調達のメリット
株式の希薄化を避けられる ベンチャーキャピタルやエクイティファイナンスのように株式を発行する必要がないため、創業者や経営陣の持ち株比率が希薄化するリスクを避けることができます。
返済義務がない 銀行融資のように、元本の返済義務がないため、事業が順調に成長しない場合でも、キャッシュフローの負担が軽減されます。
相互の強みを活かせる 事業提携によって、パートナー企業の技術、販売ネットワーク、顧客基盤などのリソースを利用できるため、自社だけでは達成しにくい事業の成長が見込まれます。
特に市場への参入や新製品の開発において、提携企業の強みを活用できます。
リスクの分散 事業提携では、複数の企業がリスクとリターンを分担するため、単独で行う場合に比べてリスクが低くなります。
資金やリソースを共有することで、経営上のリスクも軽減されます。
成長機会の拡大 提携先企業が持つ販路やマーケティング力を活用することで、新規市場への参入が容易になり、事業拡大のスピードを加速させることができます。
これにより、売上増加と資金調達の両方が期待されます。
事業提携による資金調達のデメリット
利益の分配 提携によって得た利益をパートナー企業と共有する必要があるため、単独で事業を進める場合よりも利益率が低くなることがあります。
ジョイントベンチャーや戦略的提携の場合、利益の分配比率に関する交渉が重要です。
経営の自由度が制限される 提携先企業との関係によって、経営戦略や事業方針に対する自由度が制限される場合があります。
特に、パートナー企業が自社の事業運営に影響を与える場合、迅速な意思決定が難しくなることがあります。
契約の複雑さ 提携契約には、資金やリソースの提供、利益分配、知的財産権の扱いなど多くの要素が関わるため、契約書の作成や交渉が複雑になることがあります。
適切な契約を結ばないと、後々トラブルが発生するリスクがあります。
パートナー依存のリスク 提携先企業に依存しすぎると、自社の独立性が失われ、パートナー企業の業績や経営方針の影響を受けやすくなります。
提携が解消された場合、事業が停滞するリスクもあります。
事業提携による資金調達のプロセス
提携先企業の選定 提携先として適切な企業を選ぶことが最初のステップです。
自社の事業を補完できる技術やリソースを持つ企業や、共通の目標を持っている企業を選定することが重要です。
提携条件の交渉 資金の提供方法、利益分配、経営への関与度合いなど、提携に関する詳細な条件を交渉します。
この段階で、提携先企業の期待やニーズ、リスク共有の方針を明確にすることが重要です。
契約書の作成 合意した条件を基に、法的に有効な提携契約を作成します。
この契約には、資金提供の条件、提携終了時の条件、知的財産の扱い、経営権の分配などが含まれます。
弁護士や会計士などの専門家のアドバイスを受けながら進めることが推奨されます。
提携の実行 契約が締結された後、実際に提携事業を開始します。
提携先企業とのコミュニケーションを密にし、共同の目標を達成するために進捗を管理します。
定期的な見直し 事業提携の状況を定期的に見直し、必要に応じて提携条件の調整を行います。
市場の変化や企業の成長に伴い、提携の方向性を柔軟に変更することが重要です。
9. リースファイナンス
リースファイナンスは、企業が必要とする設備や機械をリース会社から借りることで、初期投資を抑えて事業を進める方法です。
資金調達の代わりに設備投資に直接お金をかけず、リース料を支払うことでキャッシュフローを確保します。
リースファイナンスとは?
リースファイナンスは、企業が設備や機械、車両などの資産を購入する代わりに、リース会社から借りる(リースする)ことで使用し、期間中のリース料を支払う資金調達方法です。
企業が直接大きな資本を投入せずに設備投資を行えるため、資金調達の手段として多く利用されています。
リースファイナンスでは、リース契約に基づきリース会社が必要な設備や機械を購入し、それを企業が一定期間借りて使用します。企業はその設備の所有権を持たないため、設備の維持管理や保守などがリース会社の責任となる場合もあります。
リースファイナンスの種類
リースファイナンスには、主に以下の2種類があります。
ファイナンスリース(金融リース) ファイナンスリースは、企業が長期間にわたって設備や資産を借りる形式で、契約期間中は解約ができないリース契約です。
リース料は、リース会社が資産の購入価格に対して金利を上乗せしたものとなり、企業はリース契約満了まで支払い続けます。
ファイナンスリースでは、契約期間中のリース料は、実質的に資産の購入費用の分割払いに近い形となるため、契約終了時にはその資産を引き続き使用したり、場合によっては安価で購入するオプションが提供されることもあります。
オペレーティングリース(動産リース) オペレーティングリースは、短期間のリース契約であり、契約期間が終了した際にはリース会社がその資産を回収します。
この形式では、リース期間中も資産の所有権はリース会社にあり、通常、維持や修理などのコストはリース会社が負担します。
オペレーティングリースは、リース期間が短く、契約満了時に企業がその資産を所有することがないため、使い捨て型の資産や技術の変化が速い資産(IT機器や車両など)のリースに適しています。
リースファイナンスのメリット
初期費用を抑えられる 設備や機械などの大規模な購入に際して、初期費用を抑えることができます。
企業はリース料として毎月支払うことで、必要な設備をすぐに使用でき、キャッシュフローを圧迫せずに資産を導入することが可能です。
資産の維持や管理の手間が軽減 特にオペレーティングリースでは、リース会社が維持管理や修理を担当することが多いため、企業は設備の保守に関するコストや手間を軽減できます。
また、最新の設備を手軽に導入し、古い設備の処理に悩むことなく、適時に新しい資産へ切り替えることができます。
所有リスクの回避 リースファイナンスでは、資産の所有権はリース会社にあります。
そのため、資産価値が減少したり、技術の陳腐化によるリスクを回避することができます。
特に技術革新が速い分野では、リースによって古い設備を所有するリスクを軽減できます。
税務上のメリット リース料は、経費として計上できるため、税務上のメリットがあります。特にオペレーティングリースでは、リース料が全額経費として認められるため、節税効果が高いです。
リースファイナンスのデメリット
長期的にコストが高くなる可能性 リースファイナンスは初期費用を抑えられる一方で、長期間にわたってリース料を支払うため、最終的なコストが資産を購入するよりも高くなることがあります。
特に、ファイナンスリースでは、実質的に資産を購入するのと同じ効果があるため、リース終了後に追加費用がかかる場合もあります。
契約期間中の柔軟性が制限される ファイナンスリースは、契約期間中に解約が難しいため、必要がなくなった資産でもリース料を支払い続けなければなりません。
オペレーティングリースでも、契約期間が決まっているため、契約満了までの使用が強制されることがあります。
所有権が得られない リースファイナンスでは、リース終了時に資産の所有権が企業に移転しない場合がほとんどです。
そのため、リース期間が終わった時点で同じ資産を使い続けたい場合、新たにリース契約を結ぶか、資産を買い取る必要があります。
信用力の影響 リース契約を結ぶ際には、リース会社が企業の信用力を評価します。
信用力が低い企業や新興企業にとっては、リース契約を締結することが難しくなったり、高いリース料を求められる場合があります。
リースファイナンスのプロセス
リース対象の選定 企業は、必要な設備や資産を選定し、リース会社にその資産をリースするよう依頼します。
通常、リース対象となるのは、工場設備、IT機器、車両、オフィス機器などです。
リース会社との交渉 リース対象が決まったら、リース会社と契約条件を交渉します。
リース料やリース期間、資産の維持管理に関する取り決めなどを含めて詳細な条件を決定します。
リース契約の締結 リース条件に合意したら、正式にリース契約を締結します。
これにより、リース会社は資産を購入し、企業にリースします。
リース開始とリース料の支払い 契約に基づいて、企業はリース期間中に毎月または定期的にリース料を支払います。
この間、企業は資産を自由に使用でき、リース終了時にはリース会社が資産を回収するか、企業に買い取りオプションが提供される場合もあります。
リースファイナンスの事例
自動車リース 多くの企業は社用車をリースで利用しています。
これにより、車両を所有せず、維持管理の手間やコストをリース会社に任せながら、最新の車両を利用できます。
オペレーティングリースが一般的で、定期的に新車に交換することも可能です。
IT機器のリース コンピュータやサーバーなど、技術進化が早いIT機器はリースによって導入されることが多いです。
これにより、最新の機器を常に使用でき、設備の陳腐化によるリスクを軽減できます。
医療機器のリース 高額な医療機器(MRIやCTスキャナなど)も、リースによって導入することが一般的です。
医療機関は高価な機器を一度に購入する負担を避け、最新の技術を利用し続けることができます。
10. M&A(企業買収)による資金調達
企業の一部や全体を売却することで資金を得る方法です。
特に、経営資源を再編し、より成長性の高い事業に集中したい場合や、事業継承の問題を解決したい場合にM&Aが利用されます。
M&A(企業買収)による資金調達とは?
**M&A(Mergers and Acquisitions、企業の合併・買収)**は、企業が他の企業を買収することで事業を拡大し、資金やリソースを確保する手段の一つです。
特に、企業が自社の成長戦略を加速させるために、他社を買収し、その資産、顧客基盤、技術、人的資源などを活用することが主な目的となります。
M&Aは、資金調達の一環として活用される場合もあり、買収企業が資金を得るために、買収した企業の資産やキャッシュフローを利用することができます。
これにより、特に成長企業や資金を必要とする企業は、短期間で資金を確保し、経営規模を拡大することが可能です。
M&Aの資金調達としての特徴
M&Aが資金調達手段として利用される際には、買収企業が相手企業の資産や収益性を活用することで、より効率的な資金調達が可能になります。
以下はM&Aが資金調達の一部として利用される主な方法です。
買収対象企業のキャッシュフロー 買収企業がキャッシュフローを生み出している場合、そのキャッシュフローを使って自社の運転資金や成長資金を確保できます。
特に現金収入が安定している企業を買収することで、自社の資金繰りが改善されることがあります。
買収企業の資産売却 M&A後、買収した企業が所有する不要な資産や不採算部門を売却することで、資金を得ることが可能です。
この方法は、買収に伴うコストを回収しつつ、資金を調達するために効果的です。
シナジー効果の活用 M&Aによって生まれるシナジー効果、例えばコスト削減や売上の増加、経営効率の向上などが、結果的に企業のキャッシュフローを向上させ、資金調達に役立ちます。
重複する部門を統合したり、経営効率を改善することで、経済的な余裕を生み出します。
レバレッジド・バイアウト(LBO) LBOは、買収企業の資産やキャッシュフローを担保に、買収資金を調達する手法です。
買収企業が大きな資産を持っている場合、その資産を担保に銀行から融資を受けたり、社債を発行することで資金を調達し、その資金で買収を行うことができます。
これにより、自己資金をほとんど使わずに企業を買収できるため、資金調達としても効果的です。
M&Aの種類
M&Aにはさまざまな形式があり、それぞれ異なる目的と効果があります。
資金調達を主な目的とする場合には、以下の形式が適用されることが多いです。
水平統合 同じ業界で事業を展開する企業同士が合併や買収を行い、規模の拡大や市場シェアの拡大を図ります。
この形式では、事業が重複するため、コスト削減や統合効果が期待され、企業全体の資金効率が改善されます。
垂直統合 サプライチェーンの異なる段階にある企業同士が統合することで、供給側または販売側のコストを削減し、利益率を向上させることが目的です。
例えば、製造業者が原材料の供給業者を買収することで、安定した供給とコストの削減を達成し、資金効率を改善します。
多角化 異なる業界や事業分野に進出するためにM&Aを活用します。
この手法では、収益源の多様化が図られ、リスク分散や新規市場への参入が目的となります。
これにより、新たな収益機会を確保し、資金調達の選択肢を増やすことが可能です。
カーブアウト(事業分離) 企業が特定の部門や子会社を分離し、その株式を第三者に売却することによって資金を調達する方法です。
これにより、親会社は不要な事業から離れつつ資金を得ることができます。
M&Aによる資金調達のメリット
迅速な成長と資金獲得 他社を買収することで、資産、技術、顧客基盤を一度に得ることができ、結果的に成長スピードを大幅に加速させます。
特に買収対象企業がキャッシュフローを生み出している場合、その資金を即座に利用することができるため、資金調達のスピードが速いです。
シナジー効果の実現 事業統合によってコスト削減や収益の増加が期待されます。
例えば、オペレーションの効率化や重複するリソースの削減によって、より高い収益を生み出すことが可能です。
これにより、企業全体のキャッシュフローを改善し、資金調達の余地を広げることができます。
市場シェアの拡大 同業他社を買収することで、市場シェアを一気に拡大できます。これにより、競争力が向上し、価格交渉力や資金調達力が強化されます。
多角化によるリスク分散 異なる業界や市場に進出することで、事業の多様化が図られ、収益源が多様化します。
これにより、経済的なリスクを分散させ、安定したキャッシュフローを確保することが可能です。
M&Aによる資金調達のデメリット
買収コストの負担 M&Aには多額の資金が必要です。
特に大規模な買収の場合、買収資金を調達するために多額の借入や株式発行が必要となる場合があり、その結果、買収企業にとって財務負担が大きくなることがあります。
統合リスク 買収後の企業統合がうまくいかない場合、シナジー効果が期待通りに発揮されず、逆にコストが増大する可能性があります。
異なる企業文化や経営システムの統合に失敗すると、企業全体のパフォーマンスが低下するリスクがあります。
経営権の分散 資金調達のために新株発行を行う場合、既存の株主の持ち株比率が低下し、経営権が分散するリスクがあります。
また、買収に伴って新たな株主が加わることで、経営方針に影響を与える可能性があります。
レバレッジド・バイアウトのリスク LBOを用いた買収では、買収資金を借り入れで賄うため、負債が増加し、財務状況が悪化するリスクがあります。
万一、買収後の事業が期待通りに成長しなかった場合、借入金の返済が困難になり、企業の財務に大きな負担がかかることがあります。
M&Aの資金調達事例
ソフトバンクとARMの買収 ソフトバンクは2016年に英国の半導体設計会社ARMを約3.3兆円で買収しました。
このM&Aにより、ソフトバンクは最先端の半導体技術を手に入れ、成長戦略を加速させました。
ARMのキャッシュフローや技術を活用してソフトバンクは資金力を強化し、さらなる成長を目指しました。
アマゾンとホールフーズの買収 2017年、アマゾンは有機食品スーパーのホールフーズを約137億ドルで買収しました。
この買収により、アマゾンは食品市場に本格的に進出し、ホールフーズの資産や顧客基盤を活用して、資金調達力と販売ネットワークを強化しました。
経営者様必見!効果的な資金調達方法10選(後編)まとめ
資金調達の方法は多岐にわたりますが、経営者がどの手段を選ぶかは、企業の状況や将来のビジョンによって異なります。
適切な資金調達手段を選び、戦略的に活用することで、事業の成長を加速させ、経営基盤を強化することができます。
ぜひ、今回紹介した5つの手段を参考に、自社に最適な資金調達方法を見つけてください。
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